GRACE WINE 中央葡萄酒

中央葡萄酒 メニュー

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明野・三澤農場の今

2006年2月

明野産の良質なワインを多くのお客様へ


(シャルドネの摘心 左側は作業済、右側は作業未)

昨年は中央葡萄酒の歴史の中で、開園4年目を迎えた明野農場のブドウ生産高が勝沼地区の欧州系専用品種の量を追い抜いた画期的な年となりましたが、さらに今年は生産高が12トン(750mlボトルで12000本分)以上に増える予定です。

これによって第一に、これまでグレイス倶楽部の会員の皆様への予約分しかご提供できなかった明野産のワインが、ようやく多くの一般のお客様のもとに届けることができるようになります。

第二に、農場内の各圃場の特性や栽培努力に応じて品質ランク別のブドウ栽培が可能になり、一方で当社のフラッグシップワイン・キュヴェ三澤の品質をこれまで以上に高めることができるとともに、他方で比較的お求め易い価格の良質ワインを安定的に提供することができるようになるでしょう。

品質を高めるための努力という点では、昨年から試験的に取り組みだした「高畝式栽培」(根が張り巡らされる畝の部分を高くすることによって、排水性の向上、土質改良、根圏への陽光・酸素の供給などの複合的効果を生み出す)を拡大する工事をこの冬に行いました。

また、昨年明野に開業したミサワワイナリーと明野農場との一体化を強め、お客様に親しまれ愛される本格的なドメーヌ(※)建設へ向けて努力することも今年の大きな課題です。


■欧州系品種のさらなる高品質化・個性化を目指して■

明野農場が量産体制に入ることで、欧州系品種の従来の主力産地であった勝沼地区の畑のブドウ(白は菱山地区のシャルドネ、赤は鳥居平農園のメルロ、カベルネ等)は、個性(産地特性)の明確化が迫られるともに一層の高品質化を追求します。このために、ブドウの品質を向上させるためのキャノピーマネジメントをこれまで以上に原則的に行うとともに、品質至上主義を徹底させて収量制限を厳格に実施する方針です。(H.A.)

2006年4月

ぶどう芽をめぐる話

この通信をみなさんがご覧の頃、ブドウ畑では芽が吹き出しているでしょう(山梨県では4月末に発芽)。萌芽の季節を迎え、我々栽培スタッフ一同はグレイス通信前号でお知らせした今年の目標を必ず実現するべく、新たな決意と意欲をもって畑に向かっています。そこで今回の農園便りはブドウの芽についてお話することにします。


ブドウの芽は腋芽(えきが)といって、もともとその年に伸びる枝(新梢)の葉のつけ根に二つづつ付いています。うち一つはその年に発芽して副梢を伸ばし、残りの一つが冬芽として越冬します。それが翌春に萌芽し新梢を伸ばすというサイクルを繰り返すわけですが、新梢はその年に実がなるので「結果枝」ともいい、越冬した前年の枝は結果枝を生み出すので「結果母枝」と呼ばれます。


桃やリンゴ、梨は花が咲き実のなる芽(花芽)と葉の出る芽(葉芽)が別々です。しかしブドウの芽は葉を左右に開き(展葉)ながら枝を伸ばしていき、普通3枚目と4枚目の葉の反対側に花房→果房をつけます。それ以降の葉の反対側には巻きひげがつきますが、品種によっては果房を4個ほどつけることもあります。


芽の内部では、花房が開花―落花―結実し果粒が肥大していく6~7月に細胞分裂が進行し、翌年萌芽する葉や花房や巻きひげなどの組織を供えていきます。この時期に花芽が分化・形成されないと、翌年の新梢には花房がつきません。

また一つの芽の中には、中央部の主芽以外に上下に二つ副芽が形成されます。副芽は何らかの原因で主芽が枯死した場合に発育成長する役目を持つものですが、充実した芽などでは主芽と副芽が同時に成長することもあります。


■芽数と芽掻きについて■

このようにブドウの枝にはたくさんの芽があり、そのままだと新梢数→果房数が多くなりすぎて果実品質が落ちるので、冬季剪定によって枝数を少なくしたり枝の長さを短く切って芽数を減らします。それでも芽と芽の間隔(節間)が狭くて芽数が多かったり、一つの芽から複数の芽(主芽と副芽)が出たりして新梢数が多くなるので、発芽したばかりの芽や少し伸びた段階の新梢を除去して、適切な数に調節しなければなりません。この作業を「芽かき」といいます。

芽かきは5月初中旬の年間行事ですが、このとき取った柔らかい芽を揚げた「ブドウの芽の天ぷら」はほのかな香りと甘みのするこの季節ならではの珍味です。(H.A.)

2006年6月

ぶどうの生育状況と自家接木苗

今年は冬の低温と4~5月の日照不足(平年比86%)が影響して、ブドウの発芽~開花が例年より1週間ほど遅れ気味です。6月中旬に入ってようやく勝沼のメルロが満開になり、一方明野では一番早いシャルドネがやっと咲き始めました。

時期的には梅雨入りと重なってしまいましたが、雨が降り続くほどではないので「花振るい」(結実しないまま花が散ってしまうこと)の心配はあまりないでしょう。ブドウ栽培において、天候はそれこそ天にまかせるしかありませんが、環境の変化に耐える健康で充実した樹体をつくりあげることと、環境の変化を軽減する対策を講じること(例えば潅水・排水対策等)は大きな課題です。気象長期予報が必ずしも楽観できない今年のようなときこそ栽培スタッフの力量と努力が問われます。


(ぶどうの開花)

明野農場では5年前の開園時に植樹したメルロがほぼ成木に近い状態に育った横の畝に、今年自社で接木し温室で育ててきた苗が狭い間隔で植えつけられました。この苗は育苗箱で発芽・発根したばかりの青苗と呼ばれ、この苗床で1年間育てられた上で一人前の苗として来春それぞれ予定の圃場に植え変えられるのです。その中には、明野で垣根式栽培に本格的に挑戦することを決定した甲州種の苗も多く含まれています。


(青苗)

土づくり・畑づくりを土台として、育苗―植樹―樹体育成、そして環境の変化への対応を含めた栽培技術・キャノピーマネジメントの確立と、明野農場の5年間の実践をこの秋には確実に成果にしたいと思います。(H.A.)

2006年11月

今年の天候とブドウの出来具合

今年のワインの仕込みは、8月4日のデラウェアに始まり、11月2日の甲州で終わる予定です。このうち原料に100%自社農場産のブドウを使うものは、9月5日勝沼鳥居平農場のシャルドネから10月29日明野農場のカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンに至るまで計12回の仕込み、総量約18トンになりました。

ブドウの出来具合を最も左右する天候に関して、今年最大の特徴は前半期における日照不足でした。4月から全国的に大問題となった日照不足の中で、山梨県は当初それほど極端ではありませんでしたが、7月には日照時間の平年比が、勝沼で55%、明野で74%になるなど大きな影響を受けました。8月以降はほぼ平年並みに回復したものの果実の成熟ペースは1週間近く遅れ、糖度は最後まで低めに推移しました。

降雨については、春先から梅雨期にかけての新梢伸長、着果~果粒肥大期にはそれほど降らず、8月以降の成熟~収穫期に多くなるというここ数年の傾向と似ていましたが、台風の影響をほとんど受けなかったため総雨量自体は例年より少なくなっています。

 

■収量制限とランク別の収穫を導入■

こうしたことから、今年の天候がブドウにとって必ずしも好適といえないなかで、栽培上特に留意したのが、収量制限の厳格な実施でした。つまり日照量不足による光合成生産物の減少に対して、着果量や収穫量を減らすことによって、果実品質の維持・向上を図ったわけです。1本の新梢に通常二つの果房がつくのを一つにしたり、果房の大きさを小さくする「摘房」の作業を広範囲に行いました。とくに明野農場では、当初15トン程度の収量が予測されたのに対して、仕込みのロットに品質ランクを設け、高品質ロットではとくに収量制限を大胆に行った結果、最終的な収量は約11トンになりました。

また、葉での光合成を確保し、その生産物を果房に集中させるために、「誘引」や「摘芯」などの新梢管理や病害虫防除の作業も例年以上に努力しました。こうしたことの結果、収穫された自園の果実品質は、天候の制限の中では相当良好なものとなりました。ワインの出来上がりをご期待ください。(H.A.)


[別表 気象データ]
***平均温度の合計欄の数字は積算温度(毎日の温度のうち10℃を越す部分を総計したもの)
** 2006年10月のデータは25日までのもの
* 平年値は1979年~2000年の平均値