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明野・三澤農場の今

2012年1月

11年目を迎えて

2002年4月に世界の名醸ワインに比肩するワインを生みだす為の原料基地として開園した三澤農場。2011年は節目となる10年目でした。11年目となる2012年を迎えるに当たり、2回に分けてこれまでの総括とこれからの展望を述べたいと思います。

遠く南に富士山、眼前には南アルプス、北には八ヶ岳を抱き茅ヶ岳の南西斜面に位置する三澤農場。その景観や立地の素晴らしさのみならず、高品質な醸造用ブドウを育む諸所の条件にも恵まれています。日本一の日照時間と降水量の少なさ、斜面であるが故の水捌けの良さ、生育期間中絶えず吹く緩やかな南からの季節風による風通しの良さ、さらに標高700mと斜面のもたらす昼夜の寒暖差などです。  この地で2002年4月から植栽を始めた9haは2009年までにほぼ成園化を済ませ、同時に2009年4月からは新たに3haの高畝式垣根甲州(一部にカベルネソーヴィニヨン)の植栽が始まり、現在までに一部を残し植栽が完了しています。


(1月5日朝焼けと雪に包まれた三澤農場)

初期においてはまず高品質な欧州系品種を生産することを目標にしていましたが、いくつかの問題にもぶつかりました。その一つに土づくりが不十分【造成地であることと、酸性の強い火山灰土の影響が残っていたこと】であった為に、樹の生育が思うように進まなかったことが挙げられます。しかし地道な土づくりの成果が実を結び始めたことは、グレイスメルロ06のジャパンワインチャレンジ最優秀日本ワイン賞獲得やグレイスシャルドネ07の漫画『神の雫』での高評価になどに現れだしました。

その一方では更なる高品質化の鍵となる、排水性を抜本的に解決する手法として高畝式の栽培試験を始め、また他方では甲州種の高品質化として垣根式栽培にも取り組み始めました。


(2012年の恵は芽の中に)

この2つの大きな取り組みを通し、高畝式の優位性を立証【排水性だけでなく、土づくりが早くできること】、甲州種の垣根式栽培への手ごたえを得て、09年からの高畝式垣根甲州の栽培に結び付いたのです。(潮上史生)

2012年2月

11年目を迎えて 2

私達グレイスにとって魂とも言える品種である甲州種。その魂を更に高めていくには甲州ブドウそのものの高品質化が必須であるということ。その為の方法の一つとして垣根式栽培があります。なぜなら、高品質化のためには樹1本あたりの着果数=収穫量を制限する密稙仕立てが不可欠であり、それには垣根仕立てが最も近道と考えたからです。

1992年に初めてそれにチャレンジしてから、三澤農場で大規模な高畝式垣根栽培に着手する間、さまざまな試みを通じ成功させる為のノウハウを積み重ねてきました。まだまだ課題は多く、完全な栽培メソッドを確立しているとは言えませんが、そんな中でも2010年から本格的に収穫がはじまり、やはり高畝と垣根の恩恵を受け小粒で果実に凝縮感や複雑味があることなどが確認できています。また昨年植栽した高畝式GDC(ジェネバ・ダブル・カーテン。新梢を上から下に垂らし、樹勢を抑えつつ品質向上を目指す仕立て方法)でも今年から少量ながら収穫が見込まれ、こちらの品質・栽培性にも注目が集まります。


(雪の中での剪定作業)

さらに別のアプローチとして継続して行われているのが、実生栽培です。ヴィティス・ヴィニフェラの遺伝子を90%以上受け継いでいると言われる甲州種から、ワイン用ブドウとしての秘められた特性を再現させる試みとして、種から甲州種を育てるこの方法(正確には甲州種の亜種の育種)が行われています。その中から既に数株が選抜され三澤農場で栽培されています。実生から親を上回る特性を持った果実が生まれる可能性は数万分の1と言われる中、こちらはまだ遠き道のりですが、不退転の覚悟で継続していきます。

三澤農場のこれまでの10年間はドメーヌを目指す黎明期でありました。ほぼ成園化を終え、安定した収穫量を確保できること、そして開園当初から試行錯誤しながら進めてきた、この土地や気候に合った栽培管理方法、品種・クローン・台木の優劣などが明らかになり手ごたえを感じております。青年期とも言えるこれから先の10年は、これまでの経験をもとにして、永続的な土づくりを基本に、品種の更新や優良クローンへの改植など必要なことを適時行いつつ健全で樹勢中庸な樹を育て、高品質かつ省労力な栽培技術を確立していくときです。


(剪定されたシャルドネの休眠枝)

その上で多様性や環境への配慮を大事にしながら、さらに先にある成熟期への土台をつくり、自社農園=ドメーヌである最大のメリットである醸造と栽培が一つになった【グレイスワインの為の高品質ブドウ栽培】を追求してゆきます。(潮上史生)

2012年3月

冬の作業

農場では冬の間どんな作業をしているのですか? こんな質問をよく受けます。皆様がよくご存知なのは施肥や耕運、剪定さらには結果母枝誘引などでブドウ栽培の基礎になるものです。


(甲州GDCの誘引ワイヤー張り)

ではその他には何をしているのでしょう? まずは剪定した枝の処理や、ワイヤーに巻き付いた蔓を取る(この蔓に病原菌が越冬している為)などの副次的な作業。そして果実品質を上げる為の圃場周りの排水路の整備や作業効率を上げる為のトレリス(垣根設備)の改修、また11年目を迎え雨風などで痛んでしまった柱の交換などがあります。


(剪定枝処理も大事な仕事)

冬は夏の栽培管理と比肩する大切な時間であり、作業を行いながらも最大限の工夫と想像力によって、半年後の畑の姿を想い浮かべます。寒さの厳しい今冬ですが、気が付けば日の入りも遅くなり、着実に春が近づいてきています。例年あと2週間程もすると気温の上昇と共に根が活動を始め、剪定した枝の切り口から樹液が流れ始めます。春を待ち望むと同時に、どこまでやっても完璧という言葉のない畑の作業に没頭していると、まだ冬のままでいてくれ、という想いも交錯してくるのがこの初春なのです。(潮上史生)

2012年4月

遅い春の訪れ

寒さの厳しかった今冬、三澤農場でも最低気温がマイナス10度を下回る日もありました。そして関東地方では12年ぶりに春一番が観測されず、春分を過ぎてもなかなかこの時期らしい様相を呈してきませんでした。3月の下旬になりようやく春めいた気配に包まれ始め、桜の開花の便りも各地から届き初めていますが、それでも尚春の訪れが遅れている感は否めません。またこの先の中期予報でも平年より低めの気温が続くようです。

三澤農場では今、各品種でブドウの水揚げ(樹液流動)が始まっていますが、ブドウ樹もまだ本格的な春を感じられないのか、例年より控えめな水揚げとなっています。


(ぶどうの益虫 てんとうむしも動き始めました)

これらのことから推測すると早熟品種では大幅に萌芽が遅れ、一方温度上昇の影響を受けにくい中晩熟品種では少しの遅れとなり、結果的に各品種の生育ステージの差が少なくなってくることが予想されます。このことがブドウの品質や収量の直接関わってくる訳ではありませんが、栽培管理をする私達にとっては喜ばしいことではありません。つまりそれは生育ステージや各品種の成熟のタイミングに差が少なくなってくることで作業や収穫・仕込みが重なってくるということになるからです。

いずれにしてもブドウあってのワインづくり。天から与えられた状況の中でベストを尽くすことのみが、私達が出来ることなのです。さあいよいよ2012年のシーズンが動き始めます!(潮上史生)

2012年5月

萌芽を迎えて

タンポポの黄色い絨毯の中に紫のホトケノザ、コバルト色のオオイヌノフグリ、白く小さい花をつけるナズナなどが咲き乱れている三澤農場。陽気は春から初夏を連想させ、それに伴い畑の植物も寒かった冬から一気に目覚めの時を迎えています。一見してみて冬の姿と変わっていないブドウ樹も次第に芽の膨らみがはっきりとしてきて、間もなく本格的に萌芽を迎えます。

もう少し詳しく観察すると、春先からの豊富な降水量と急激な気温上昇の影響を受け、当初大幅に遅れるのではないかと思われていた萌芽は、平年よりは遅いものの昨年よりは数日早く萌芽する見込みです(4月27日現在)。


(メルロも萌芽から展葉初期へ)

また芽の膨らみから推測する萌芽のタイミングも、ほぼ各品種の特性通りとなっており(ブドウ樹にストレスが掛かっていない状態)、このことから今年の萌芽は良い≒萌芽率が高いということが予想できます。

今年11年目を迎えた三澤農場の目標は、欧州系での品質・収量の底上げと、09年から植樹を開始した高畝式垣根甲州です。4年目を迎え順調に成長を続けた垣根甲州はいよいよまとまった収量を見込める段階までやってきました。その一方で誰も経験したことのない垣根甲州の大規模な栽培・醸造には初めて直面する問題も現れるでしょう。それにはまず私達自らが解決し飛躍させるのだという強い気持ちを持って、妥協なく、ひた向きに取り組んで参ります。(潮上史生)

2012年6月

ブドウ樹の姿から見えるもの

12ヘクタールに及ぶ広大な三澤農場の栽培管理には、ある程度の流れるような作業が必要です。しかし、それはブドウ樹の状態が思わしくない時、また生育の仕方がイメージと違う時は注意深い管理を要します。

例えば果実品質と収量を最適なバランスに調整する為に行うこの時期の芽かき作業中、本来は一枚の緑のカーテンのように、全ての樹からできるだけ均等に芽から出た新梢を配置することが重要です。何らかの原因で萌芽が悪い樹があることで、その部分だけポッカリと間が空いてしまっている場合などがあります。そんな時に思うのは昨年の生育状況のこと、冬季剪定の仕方、今冬の極端な寒さの影響、病気・ウイルス・虫の被害、生理的な障害などと様々な考えが巡ります。


(メルロの畑に虹がかかりました)

栽培作業ではブドウ樹の状態を元に気象要因や土壌の状態を把握した上で、私達のこれまでの知識や経験を投入しつつ最善を期して進めます。一方、毎年違う条件の中で、今起きている事が今までの何に起因しているのか?それを結びつける作業でもあります。

ちょうど私達が病気になった時に、それまでの食生活や生活習慣を見つめ直すのと同じように、ブドウ樹とそれを取り巻く状況を見つめ直す。さらにそれを客観的に判断する手法として土壌分析や植物体の分析などを行い参考にすることで、真因を探ってゆくのです。

私達にとってそれを繰り返し行うことこそが、栽培管理という型からブドウ樹の理解という中身に変わるのだと思います。忙しさの中でもその本質を見つけることを怠らずに作業進めていきます。(潮上史生)

2012年7月

開花から結実へ

ブドウの開花というと、皆様はどの様なイメージを持たれるでしょうか?

ブドウの果粒一つ一つが実ですので、元々はそれぞれが小さな花(小花と呼びます)だったのです。ブドウの花が満開の時期に垣根の間を歩いてゆくと、ユリの花の様な甘い香りを感じます。しかし、ブドウの花は可憐であり、香りほどには華やかでありません。それと云うのも開花中のブドウの花には、所謂花びらが付いておらず、雌しべの周りを5本の雄しべが囲んでいるだけで、花びら(花冠、英語ではCAPと呼びます)は開花と同時に正にCAP(帽子)の様に下から上へと外れるからです。


(シャルドネの結実)

そして外れた花びらは花カスと呼ばれます。カスと呼ぶのは見た目にも綺麗でないことと、死んだ細胞に寄生する灰色カビ病などの原因となるという理由からなのでしょう。更にブドウの花には綺麗な花びらを持つ必要がない性質があります。それは自家受粉(風媒受粉とも呼び昆虫や人が介在しなくても受粉する)と自家和合性(自分自身の花粉でも正常に受精する性質)で云うものであり、これらの性質は栽培種としては非常に便利である共に、昆虫を引きつける為の綺麗な花びらが必要ない理由ともなります。しかし一方では受粉→結実には多くの要因(気温・降雨・乾燥・養分欠乏が主)が影響し、時にこの受粉が上手くゆかない現象≒花振るい(花流れ)が起こり、結実を阻害させます。


(カベルネ・ソーヴィニヨンの開花)

今年はこれまで確認出来ている品種の中では、メルロで若干の花振るいが起きてます。即ち、結実過多では無いために → 房づくりの手間が省ける、更には自然な収量制限が行われたことになります。我々が手を下さなくとも良い場面にも出くわします。今年も、品質向上に向けての期待が高まります。(潮上史生)

2012年8月

間もなくヴェレーゾン!

早いものであと1ケ月もすれば2012年最初の収穫が始まります。そして先日は農園スタッフと醸造スタッフとで今年の収穫に向けて収穫ロットと房づくり方針の確認を行いました。

こうして収穫の話を始める頃になるとブドウの生育も大きな転換期を迎え、枝葉を茂らせ果実を肥大させる栄養生長期から種子を完成させ、果実に糖を蓄えつつ着色が始まる生殖生長期へと移ってゆきます。


(夏の日差しをいっぱいに受ける高畝式垣根甲州)

この状態をヴェレーゾンと呼び、私達にとっては、いよいよ成熟期に入り収穫へのカウントダウンが始まる合図といった感じがします。今年も間もなく始まるそのヴェレーゾンを、病気が少なく健全な状態で迎えられそうです。その“健全さ”の要因として最も影響を与えるのが降水量。局地的には活発化した梅雨前線と台風によって、豪雨に見舞われていた日本列島ですが、幸い私達の三澤農場では降水量はやや多め(平年比130%)だったものの、台風4号による降水が多くを占め、全体としては降り続くような雨の日が少ないまま梅雨明けを迎えられました。この状態を維持しさらにブドウの成熟を手助けすべく、これから収穫までの間私達が行っていくことは成熟期の秋雨や台風から果実を守る為の雨除けシート張り、光合成によって作られた糖分を果実に集中させるための摘心、着色を促しつつワイン用ブドウとしての欠点とされる青臭みの減少や香りを豊かにする為の除葉、熟度や凝縮感を上げながら収量を最大限に確保する為の摘房・房づくり、さらに虫や獣の害からブドウを守ると云ったことなどです。雨に泣かされた昨年の成熟期が頭をよぎりますが、大切なことは私達が出来ることを最大限に行うこと。あとはお天道様に祈るような気持ちです。

そう、まさにワインの“ヴィンテージ”とはお天道様と自然条件が多くを決めるその年毎の個性だという事を理解しつつ、万全を期し成熟期を迎えます!(潮上史生)

2012年9月

ビッグヴィンテージへの期待!

朝晩の気温が少しずつ下がり始め、秋の虫の声も聞こえ始めましたが、日中はまだまだ厳しい暑さが続いています。

三澤農場では全ての品種がヴェレーゾン入りしましたが、これからの醸造用ブドウの成熟期にとって理想的な天候とは、暑すぎず涼しすぎない最高気温と昼夜の寒暖差、豊富な日照時間と少ない降水量がつくり出す“穏やかな好天”と言うことができ、それらが糖やアントシアニンの蓄積、緩やかな酸の減少、果実の凝縮感に繋がります。
今現在、最高最低気温ともやや高すぎる傾向が続いていますが、一方ではこれまでの際立って少ない降水量の下でのブドウの生育は非常に健全であり、且つ糖度の上昇・着色も順調に推移しています。その降水量、ブドウの生育期4月~8月までを見ると三澤農場が開園した2002年以来最低の430mm程となっており、これはグッドヴィンテージだった2009年よりも遥かに少なく、質・量ともに非凡なヴィンテージとなる経過を辿っています。


(色づくカベルネ・ソーヴィニヨン)

そんな中で私達にとっての最大の関心事は、ブドウの成熟スピードとこれからの天候。特に太平洋高気圧が弱まるとやってくる秋雨や台風による降雨がどの程度か、それによりこれまで最良の経過を辿っていても、結果が大きく変わってしまうことも在り得るからです。
その降雨の影響を最小限に抑えるべく、今年からメルロの一部で根域に雨水が浸透するのを防ぐグランドシートを敷く試験を行っています。言うまでもなくこれにより、果汁が薄まることと、膨張により裂果することを防ぎ、健全且つ凝縮感のある果実を収穫することを目的としています。

“穏やかな好天”が続くことを期待しつつも、予測できないこれからの天候に対し、出来得る限りのことを行う。その先にビッグヴィンテージが待っていることを期待して!

ワイナリーでは醸造設備の準備や収穫箱洗いが進み慌しさが増す中、間もなく今年最初の収穫《シャルドネ・スパークリングロット》が始まります。(潮上史生)

  

2012年10月

垣根式甲州への期待膨らむ!

弊社の垣根式甲州種の栽培の歴史は今から遡ること20年前、1992年に現在は笛吹市の一部となった八代町の自社農園にて始まりました。当初、甲州種の垣根式栽培は樹勢コントロールの難しさに起因する果房がつかない、結実が悪いなどの栽培上のハードルが高く、農業経営の観点からみて、量産化には踏み切れませんでした。その後三澤農場の開園の後2005年から面積を広げての栽培実績を経たことで、量産化への確信を得て2009年に拡張されたのが高畝式垣根甲州の畑なのです。

これまで栽培されてきた垣根式甲州種のブドウの品質及びワインの酒質は、一般的な棚栽培のそれとは一線を画すものであることは、私達自身が認識するのみならず、多くの方々からの評価が証明しています。それは垣根式という栽培方式が、一般的な棚栽培に比べて、1樹当りの収量が制限されることにより、生み出される品質上のメリットであり、それこそが私達が甲州種を垣根式で栽培する目的であるのです。しかしその反面では農業経営を成り立たせる為の、最低限の収量を確保することが大きなテーマであり、第一段階だったのです。


(収穫を待つ垣根甲州)

この第一段階を試行錯誤しながらも実績を重ねてきた今、次に私達が目指すべきは、より安定的な生産及び省力化を実現しつつ、品質に磨きをかけてゆくということです。それには三澤農場の土壌の性質・気候的な特徴などを考慮した上で、土壌の養分バランスや樹(系統や台木)の選択、樹間といった基本的なことを再点検し、更に整枝剪定方法、新梢管理など全てのブドウ栽培に共通することを、甲州種というブドウの特性に最も適した手法を選択・実践してゆくことに他なりません。その推進力となるものが、これまで培った栽培実績やノウハウの蓄積なのです。

更に将来に向けては栽培性に優れつつも、より醸造用に適した系統の選抜を継続的に行ってゆくことが大切であり、それこそが根本的な甲州種ブドウと甲州種ワインの酒質の向上に繋がってゆくと確信しています。

この秋の収穫から更に増産体制に入った垣根式甲州、今後のブドウ樹の成長と共に、品質面での更なる向上を、どうぞご期待下さい。(潮上史生)

2012年11月

2012 歴史に残るヴィンテージ!

南に望む富士山にはすっかりと雪帽子が被り、朝晩の冷え込みに秋の深まりを感じます。そんな中三澤農場での2012年の収穫は11月3日のカベルネ・ソーヴィニヨンにて全て終了しました。そして今月皆様にご報告するのは、2012年で開園10周年を迎えた三澤農場が最高とも言えるヴィンテージを迎えることとなったことです!

まず収穫量の点で過去最高となったこと、そして品質に於いては極めて高い熟度(欧州系品種ではほぼ全ての品種・収穫ロットで糖度23°~25°、栽培面積が増えている垣根式甲州種においても、目標であった糖度20°を超えました)と凝縮度(これは数値ではなく官能的な評価となります)、適度な酸の保持による良好なバランスなど、類稀とも云うべき品質を達成したのです。更に収穫期全般を通して非常に健全なブドウを収穫できたことも特筆すべきことです。この収穫量と品質を達成できた最大の理由は、今年のブドウの生育期中(4月~10月)の恵まれた天候によるものだと云えるでしょう。特に降水量については600mm程と非常に少なかった上、成熟期(8月~10月)の日照時間に於いては600時間超という過去20年間でも群を抜く長さであることが、2012年の類稀な品質と収量に寄与したことは明らかです。昨年のように条件に恵まれない年もあれば、今年のように素晴らしい年もある。農産物にとっては当然のことではありますが、まずはこの天の恵みを素直に喜びたいと思います。


(紅葉の始まりと共に2012年の収穫が終わりました)

その上で忘れてはならないのが、条件に恵まれない年にどう対処し結果に結びつけてゆくのかということ。これこそが今後私たち栽培スタッフに求められていることであると自覚を新たにしています。その基礎となるのが土づくりや新梢管理をはじめとする年間を通した栽培管理であると共に、日々の観察・分析などのデータ収集、そして何よりも常に改善してゆく姿勢であると思っています。

そして今年の収穫シーズンもまた、多くのボランティアの皆様に支えられ乗り越えられましたことを、この場を借りてお礼申し上げますと共に、この歴史に残るヴィンテージのワインの出来をどうぞご期待下さい!(潮上史生)

2012年12月

ブドウ樹の観察から見えるもの

グレイトヴィンテージとなった2012年、その大きな要因は天候に恵まれたことと云えますが、一方でその恵みを享受できたのもブドウ樹が健康であったからだということを忘れてはなりません。ワインづくりにとっての普遍性である“ワインづくりはブドウづくり”。この言葉が表すように“ワインの品質=ブドウの品質”であり、それを下支えしているのがブドウの樹1本1本であるからなのです。

現在三澤農場では収穫後の片づけから来年に向けての施肥の段階に入っています。それと同時に農繁期には出来なかったブドウの樹の健康状態のチェックを行うことも、この時期の重要な仕事です。三澤農場に植えられている樹は約2万本。その全てついて出来るだけ細かな観察を行い、何らかの異常が認められる樹や、枯死や樹勢の低下(草刈りによる傷、虫による食害、冬の寒さによる幹割れなど原因は様々)、病気やウイルスの感染などを観察し記録してゆきます。


(恵みをもたらしてくれた樹、そして落ち葉にも感謝)

そしてそれぞれの樹について、植え替えの必要があるのか、何らかの対処をするのか、又は暫く様子を見てゆくのかを判断した上で、適切な対応をとってゆくのです。またブドウが成熟していく過程で品質が思わしくなかった樹もその対象となります。

観察と記録、この一見地味な作業こそが全ての栽培管理に通じるものであると同時に、将来の三澤農場を形づくる為の基礎となるのです。

(潮上史生)