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明野・三澤農場の今

2015年4月

春の訪れと新たな試み

桜の開花がすぐそこに迫った三澤農場でも草花が息を吹き返し始めると同時に“春を告げる鳥”ヒバリの鳴き声も聞こえ始めました。動植物にとっては長い冬からの目醒めも、私達にとっては束の間の冬。

冬の間の作業は秋に収穫するブドウの品質を左右すると云っても過言では無い程の重みを持っています。一方ブドウ樹の生育に大きな影響を与える天候はどうか。

この冬から春先の天候を振り返ってみると、
①昨年とは対照的に殆ど積雪がなかった上、寒さもそれほど厳しくなかった。
②定期的に雨や雪は降ったものの降水量そのものは平年を下回る。
③2月中旬からは順調な気温上昇、3月中旬には寒の戻りがあったがその後は急激な気温上昇。寒の戻りがあった為か2012年に続き関東甲信地方では春一番が吹かなかった。
④平年より早い春の訪れ。甲府の桜の開花は2日早い。
といった特徴がありました。

ブドウ栽培をしてゆく上で、当然これまでも天候とブドウの生育や成熟の関係を探ってきました。その際には天候を印象としてでは無く客観的な数値として把握し、ブドウ樹の生育や成熟に関連付けて生育ステージ管理の指標にしたり、ワインメーカーの求めるブドウ栽培に生かしたりしてゆくことが重要です。その為には出来るだけ局所的な気候≒ブドウ畑が位置する気候(中気候)、更にはワインを仕込む区画ごと気候(小気候)のデータが必要になってきます。

一方“天候とブドウの成熟”というテーマは2012年にボルドー大学醸造学部長であったジル・ド・ルベル教授が来日講演した際にも、山梨県がワイン産地を確立させ情報を発信してゆく為にも気候とブドウ品質のデータ集積の必要性を説いていました。

ブドウ品質を向上させるためのデータ活用と産地を確立させ発信してゆく為のデータ集積。これらの目的を担う為、この春から産学官連携の事業がスタートしました。地域社会と連携しながら教育・研究・社会貢献を進める大学を支援する文部科学省の“地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)”、プロジェクトの一つとして山梨大学と県ワイン酒造組合とが連携し醸造用ブドウ栽培を高度化するためのセンサーネットワーク基盤を構築し活用する。具体的には今年度は三澤農場に気象観測センサーを設置しデータを計測、ネットワークを使い大学でデータ集積し、きめ細かな栽培や収穫適期の指標作りに役立てるといったものです。

こうした事業が広がる事により、これによりこれまでは捉えられなかった県内各地の局所的な気象データを活用できるようになることは私達にとっても歓迎すべきことですが、同時に日本における代表的な醸造用ブドウ産地として、気候とブドウ樹の生育や成熟の関係を目に見える形で集積し、そこから得られるデータを発信してゆくという責任も担っています。

2015年5月

新緑の季節へ

4月29日までの気象データは降水量148.5mmと平年の165%、日照時間は135hと 平年の71%となっています。月単位で見ても平年とは懸け離れた数値となっていますが、期間を細かくすると、この4月は更に極端な天候であったことが読み取れます。

148.5mmという降水量の全ては20日までに降ったもの、また135hの日照時間の半分以上の76hは21日から29日の9日間のものと、20日までの上中旬と21日からの下旬とで大きく季節が変わっています。この上中旬の天候不順の影響は特に葉物を中心とした野菜で大きく、価格の高騰などはニュースなどで伝えられた通りです。

三澤農場のブドウにとってはまだ萌芽前なので気象の悪影響は無く、寧ろこの春に植えた苗や若木にとっては恵みの雨となりました。そして日照時間の少なさと比例して気温もやや低めに推移していたことで、それまでやや早めに進んでいた萌芽前の生育も一時的にブレーキを掛けられた状態となったのは好都合でした。

一転して下旬に入ると豊富な日照時間と季節はずれの高温となります。加えて蓄えられた豊富な土壌水分を元に、これまで掛けられていたブレーキが解かれ、今度は一気に萌芽が加速しており、29日の時点で大半の品種で萌芽を迎えるということになりました。今年の萌芽は総じて云うと早熟系のシャルドネ・メルロは平年よりやや早め、中晩熟の品種は平年よりかなり早めとなり品種間の生育差が少ないというのが特徴です。

新緑の季節を迎えた土壌を覆う草花の伸びと木々の芽吹きにも、例年より勢いがあるように感じるのはこうした天候のせいでしょう。

   

2015年6月

開花始まる

5月の日照時間は平年の120%、降水量は50%。好天と高温を受け新梢の生育は早く勢いがある中、28日にはシャルドネの特別区にて開花が始まり、平年よりかなり早い開花となりました。

また少雨の為病害の兆候は全く無く、健全に生育を続けています。降水量の少なさは多くの病害の発生を抑制しますが、乾燥を好むウドンコ病だけには注意が必要です。また開花結実期には日照と同時に様々な養分が必要になる為、少雨による養分吸収の妨げにより樹勢の弱い樹では花振るいを起こす可能性が若干残っています。

刻一刻とブドウ樹の姿が変わってゆく時期ではありますが、気象条件や生物相の活動に注意を払い出来うる対策をとりつつ、結実を見守りたいと思います。

2015年7月

実止まり~果粒肥大へ

6月8日に梅雨入りした関東甲信地方。この6月は梅雨らしくまとまった雨が断続的に降っています。28日までの気象データは降水量127mm、日照時間は131時間、平均気温は20.2℃で、どの項目も平年並みです。また中旬には三澤農場に程近い穂坂地区で降雹があり一部のブドウ園には被害がありましたが、幸いにして三澤農場での降雹はありませんでした。

今年は開花前の5月に降水量が少なかった為、一部に微量要素欠乏による結実不良の粒が有るものの、全体として実止まり(結実)は悪くはないようです。病気の発生も確認されていますが、平年よりやや早いペースで概ね順調な生育をしていることをお伝えします。

2015年9月

ヴェレゾン~実りの秋へ

7月19日頃、例年より長く感じた梅雨が明けました。それもそのはずで梅雨の日数 こそ平年並みだったものの降水量は1.7~8倍に達していました。その反面日照時間も平年並みであったことが影響してか、赤品種のヴェレゾン【軟化・色づき・糖度上昇】のスタートは7月30日と、2013年並に早く観測されました。

その2013年と云えば記録的な猛暑の夏として記憶に新しいですが、今年も同様に梅雨明け後から8月中旬まで厳しい猛暑が続きました。2013年はヴェレゾンの入り、その後の成熟も早く進みました。対して同じく猛暑に見舞われた今年はスタートこそ早かったものの成熟の進みは遅いのが特徴です。

梅雨明けが7月初旬と早かったのが2013年、今年はそれよりも2週間近く遅い梅雨明けという違いがあったものの、ブドウの生育に対する気候の影響は大変興味深いものがあります。

三澤農場では、自社畑という優位性を活かして、区画ごとにブドウの生育を見極め、きめ細かな作業を行うと共に、醸造のスタッフと一体となって、2015年の気候が活かされた、グレイスらしいワインを造ることに力を注ぎたいと思っております。

猛暑もお盆を過ぎた頃から、一段落し朝晩の空気には秋の気配を感じるようになってきました。三澤農場今年初のスパークリング用シャルドネの収穫まであと僅か。成熟に必要な日照と昼夜の寒暖差に期待しつつ、収穫までの準備を滞りなく進めます。