明野・三澤農場の今

2012年2月

11年目を迎えて 2

私達グレイスにとって魂とも言える品種である甲州種。その魂を更に高めていくには甲州ブドウそのものの高品質化が必須であるということ。その為の方法の一つとして垣根式栽培があります。なぜなら、高品質化のためには樹1本あたりの着果数=収穫量を制限する密稙仕立てが不可欠であり、それには垣根仕立てが最も近道と考えたからです。

1992年に初めてそれにチャレンジしてから、三澤農場で大規模な高畝式垣根栽培に着手する間、さまざまな試みを通じ成功させる為のノウハウを積み重ねてきました。まだまだ課題は多く、完全な栽培メソッドを確立しているとは言えませんが、そんな中でも2010年から本格的に収穫がはじまり、やはり高畝と垣根の恩恵を受け小粒で果実に凝縮感や複雑味があることなどが確認できています。また昨年植栽した高畝式GDC(ジェネバ・ダブル・カーテン。新梢を上から下に垂らし、樹勢を抑えつつ品質向上を目指す仕立て方法)でも今年から少量ながら収穫が見込まれ、こちらの品質・栽培性にも注目が集まります。


(雪の中での剪定作業)

さらに別のアプローチとして継続して行われているのが、実生栽培です。ヴィティス・ヴィニフェラの遺伝子を90%以上受け継いでいると言われる甲州種から、ワイン用ブドウとしての秘められた特性を再現させる試みとして、種から甲州種を育てるこの方法(正確には甲州種の亜種の育種)が行われています。その中から既に数株が選抜され三澤農場で栽培されています。実生から親を上回る特性を持った果実が生まれる可能性は数万分の1と言われる中、こちらはまだ遠き道のりですが、不退転の覚悟で継続していきます。

三澤農場のこれまでの10年間はドメーヌを目指す黎明期でありました。ほぼ成園化を終え、安定した収穫量を確保できること、そして開園当初から試行錯誤しながら進めてきた、この土地や気候に合った栽培管理方法、品種・クローン・台木の優劣などが明らかになり手ごたえを感じております。青年期とも言えるこれから先の10年は、これまでの経験をもとにして、永続的な土づくりを基本に、品種の更新や優良クローンへの改植など必要なことを適時行いつつ健全で樹勢中庸な樹を育て、高品質かつ省労力な栽培技術を確立していくときです。


(剪定されたシャルドネの休眠枝)

その上で多様性や環境への配慮を大事にしながら、さらに先にある成熟期への土台をつくり、自社農園=ドメーヌである最大のメリットである醸造と栽培が一つになった【グレイスワインの為の高品質ブドウ栽培】を追求してゆきます。(潮上史生)